広島県と愛媛県がタッグを組んで合同開催した、
瀬戸内しま博覧会「瀬戸内しまのわ2014」
成功の大きな要因となったのは、
地域住民が運営を行った民間企画の存在でした。
瀬戸内海国立公園指定80周年と瀬戸内しまなみ海道開通15周年を記念して、2014年3月21日から10月26日まで、広島県と愛媛県の沿岸部および島しょ地域で開催された博覧会。 「島の輪がつながる。人の和でつなげる。」をコンセプトに、地域やそこに暮らす人と訪れる人をつなぎ、瀬戸内独自の文化や魅力を発信するイベントを開催した。ここで生まれた事業は会期終了後も地域に根づき、まちづくりに生かされている。
イベント数 | :418企画 | |
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来場者数 | :588万2645人 | |
経済効果 | :196億8900万円 | |
広告宣伝効果 | :60億2300万円 | |
「グッドデザイン・地域づくりデザイン賞」受賞 |
広がったのは「共感」でした
広島と愛媛は地域や文化の垣根を越えて、
一丸となって「しまのわ」を成功させました!
地域や文化の垣根を超え、対話を重ねて連携を強化
広島県と愛媛県が県の枠を超えて合同実施した「瀬戸内しまのわ2014」。プロデューサーとして、両県はもちろん開催市町と地域住民との間にも立ち、それぞれの意見を調整しながらイベントを成功へと導いた。
中でも注力したのは、地域住民が運営を行った民間企画だ。
まず、行ったのが「人集め」だった。開催地となる島々で“お悩み相談会”を実施し、住民の悩みや普段考えていることをヒアリングした。後日そこで出た話題をもとに企画を構築。
その企画をもとに住民との対話を幾度も重ね、次第に協力者が集まりはじめた。
地方が持つポテンシャルは高い。イベントの世界観を共有し、目標を明確にすれば自然と仲間が集まる。
次に、企画の要点をまとめたチラシを作成した。ビジュアルで企画を説明したチラシを使うことで、誰でもわかりやすく企画の趣旨を伝えられるように。
協力者を増やすことはもちろん、参加者の理解度も高まり、イベントへの共感度の向上にもつながる。
両知事の“しまのわポーズ”に象徴される、地域や文化の垣根を超えた連携はこうしてつくられていった。
「共感」から生まれた自発的イベント
まずは地域の人に
集まってもらうために。
しまキャンプ(愛媛県)
お悩み相談会も兼ねた対話の場。
船便を増加してほしいなど
事業に直接関係ない要望も丁寧に聞き取った。
地域の人たちとの会議は「対話」が大事
地域の問題や課題に対しての解決策や答えは、その地域が持っている。
他地域・異業種の人との対話の中で、住民自身が気づき答えをみつけていく。
我々専門家がコーディネート
何気ない住民のひと言から企画が生まれることも。
ささいなキーワードを手掛かりに、いかに企画を昇華させていくかは、バリュー・クリエイターの腕の見せどころ。
情報を整理して
アウトプットへ
住民たちとの対話から生まれた企画は、
要点をまとめて1枚のチラシに。
分かりやすさを第一に、イラストや
写真を多用した。
企画が実現!イベント終了後も継続的な開催へ
地域の人々の想いが込もった企画は、イベントが終了しても継続して開催されることが多い。
高齢化によって使われなくなった蜜柑畑に茶葉を植え、新しい紅茶のブランドを立ちあげた。
茶摘み体験を行うなど、「しまのわ」から生まれた行事が継続的に開催され、多くの島に活気を取り戻している。
全64店舗「しまのわカフェ」
広島・愛媛両県合同事業
海が見える店、島の人々と触れ合える店……。「瀬戸内しまのわ2014」の会期中、開催地域にある64店舗が「しまのわカフェ」としてチェーン展開。 瀬戸内の食材を使い、各店が腕によりをかけてつくった「しまのわメニュー」で、美しい風景とともに訪れる人をもてなした。また、イベントに合わせてカフェ全店を網羅したガイドブックも作成され、話題となった。
地域最大のカフェチェーン
「しまのわカフェ」が誕生
地域限定のカフェチェーンの展開には、スタッフが一軒一軒を回って協力を呼びかけた結果、両県合わせて13市町の64店舗が参加。
地域自慢の食材を生かしたメニューを開発
瀬戸内海中部の関前諸島で採れた、レモン、みかん、柿、
ひじきなどを使用。自然の恵みがたっぷりのパウンド
ケーキとかわいい焼きプリンのセット。(まるせきカフェ)
愛媛県大島で捕れた新鮮な魚を使用して作られる。
日によって、季節によって異なるメニューに登場するのも
楽しみのひとつ。(食堂みつばち)
「瀬戸内しまのわ2014」では、会期中418のイベントを実施。沿岸部や島のそれぞれの地域で、特産品や伝統行事などを利用したイベントが行われた。
開催地域にある64の店を、期間限定のチェーン店「しまのわカフェ」としてオープン。地元食材を使ったオリジナルメニューを提供した。
また、愛媛県大三島では途絶えていた「宗方櫂伝馬(かいでんば)・十七夜祭」が復活。県外に住む島出身者も大勢規制し、のどかな島が老若男女の歓声で活気に包まれた。
さらに、交流会で広がったネットワークを生かし、村上水軍ゆかりの狼煙台を使い、広島から山口まで57の島々をつなぐ「狼煙リレー」を開催。これらの「しまのわ」で生まれたイベントは、多くの地域や島で新たな観光資源として、継続的に開催されている。