美味のまち鹿児島づくり事業 -薩摩美味維新-
「食」を通した鹿児島らしい“おもてなし”を実現
鹿児島市において観光未来戦略の一環として、九州新幹線の全線開業に合わせて、「食によるまちづくり」を推進していくことが決定されていた。しかしながら、既に「黒豚」「芋焼酎」などの成功事例があり、各種団体による新たなご当地グルメ開発も盛んな地域であり、どういう形で未来戦略を描くべきかについて悩んでいた。そこで、食の歴史・文化に立ち返り、食による“おもてなし”を核に事業をデザインした。
徹底的なヒアリング
各事業者にヒアリングを行ったところ、一番大切にしていきたいことは、単なる「美味しさ」だけの追求ではなく、「鹿児島らしさ」の追求であり、「食の文化(スタイル)」をどのように表現していくかであることが分かった。そこで、“食によるまちづくり”を推進する「美味のまち鹿児島づくり」協議会を設立した。
バリュー・クリエイター佐藤の視点 事業は継続を前提として設計されなければ意味がないが、それが分かっていながら実行できていないのが多くの地域における実情である。これを回避するためには、協議会等の組織運営システムを強固に作り上げる必要がある。
ノウハウをフルに活かしプランニング
九州新幹線全線開業に合わせて協議会が最初に取り組むべき事業をイベントに決定。鹿児島らしい食の文化(スタイル)を“おもてなし”を提供する仕組みとして「薩摩美味(ぅんまか)維新」を企画した。アイデアをプラン化するにあたっては、官民協働のワークショップスタイルで実行した。
バリュー・クリエイター佐藤の視点 ワークショップは多くの地域で実施されるが、①自発的な参加者を集めることと、②優秀なファシリテーターを採用すること、が成功のカギである。加えて、アイデアをプラン化する仕組みがワークショップにビルトインされている必要がある。
120%の力で実行→検証→リプラン
「薩摩美味維新」は春・秋は会場設置型、夏・冬をキャンペーン型として実施した。その中で、イベント名を「宴(だいやめ)」と表現し、新メニューでは郷土料理である「両棒(じゃんぼ)もち」の2本串スタイルを採用した「美味両棒」を開発、焼酎の提供では「ソラキュー」という杯を採用するなど、鹿児島らしさを追求した。
バリュー・クリエイター佐藤の視点 地域らしさを追求することにより“ご当地愛”が事業にセットアップされ、内外に向けたメッセージが分かり易くなる。イベントの成功を急ぐあまり、地域らしさを欠いた事業で展開しているケースに出会うが、多くが事業継続していないことを認識しておくべき。